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迫りくるサプライチェーン攻撃の脅威と経産省制度の背景~企業の取るべきセキュリティ戦略と「人材育成」の重要性~

近年、サイバー攻撃の手口は巧妙化の一途を辿り、その標的は組織の中核システムだけでなく、セキュリティ対策が手薄になりがちな子会社や業務委託先、取引先(サプライヤー)を侵入口とする「サプライチェーン攻撃」が主流となっています。

ひとつの取引先からの情報漏えいやシステムの停止が、連鎖的にサプライチェーン全体を麻痺させ、社会的な混乱や巨額な経済損失を引き起こす事例が後を絶ちません。
このような背景から、経済産業省は日本経済の基盤を守るため、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」の構築を推進しています。

この制度の目的は、組織が満たすべきセキュリティ対策の水準を明確化し、その実施状況を客観的に可視化することで、サプライチェーン全体のリスクを低減し、サイバーセキュリティの水準を底上げすることにあります。

【出典】経済産業省「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度構築に向けた中間取りまとめ」をもとに作成

https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250414002/20250414002.html

目次[非表示]

  1. 1.評価制度の構造と「★3 Basic」の意義
    1. 1.1.★3 Basic:全ての組織が持つべき「基礎体力」
  2. 2.なぜ「★4 Standard」を目指さなければならないのか?
    1. 2.1.ビジネスにおける信頼性と競争力の証明
    2. 2.2.サプライチェーンリスクへの体系的対応
    3. 2.3.組織的ガバナンスの成熟化
  3. 3.★4 Standard達成の鍵:「セキュリティ教育」の戦略的役割
    1. 3.1.インシデント対応能力を実効性のあるものに
    2. 3.2.取引先管理と教育の連携
  4. 4.セキュリティ教育は未来への戦略的投資

評価制度の構造と「★3 Basic」の意義

本制度は、組織のサプライチェーンにおける重要性や影響度に応じて、セキュリティ対策の段階を★3、★4、★5の3段階に分けています。

★3 Basic:全ての組織が持つべき「基礎体力」

  • 対象と目的
    ★3 Basicは、全てのサプライチェーン組織が最低限実装すべき基礎的な対策です。
    特にリソースが限られる中小企業が、まず最初に取り組むべき水準として位置づけられています。
  • 対策の焦点
    「基礎的なシステム防御策」と「体制整備」に焦点を当てており、マルウェア対策ソフトの導入、適切なパスワード管理、重要なデータの定期的なバックアップ、基本的なセキュリティ方針の策定など自己評価を通じて、自社の脆弱性をチェックし、最低限の防御壁を築くことが求められます。

しかし、現代の高度な脅威に対応し、ビジネスにおける信頼性を確保するためには、この「基礎体力」だけでは不十分です。

そこで次に目指すべき水準が、★4 Standardとなります。

なぜ「★4 Standard」を目指さなければならないのか?

★4 Standardは、★3の基礎的な防御に加え、より包括的な組織ガバナンスとインシデント対応能力を要求する、サプライチェーン組織が標準的に目指すべき水準です。

この水準への取り組みが必要な理由は、主に以下の3点に集約されます。

ビジネスにおける信頼性と競争力の証明

★4 Standardは、原則として第三者評価が想定されています。

これは、自社のセキュリティ対策が客観的に見て信頼できるレベルに達していることの強力な証明となります。

  • 取引継続の必須要件化
    今後、大規模な組織や重要インフラ組織との取引契約において、★4の取得または同等水準のセキュリティ対策の証明が、ビジネス上の必須条件となる可能性があります。
  • 差別化要因
    ★4評価マークは、セキュリティリスクを適切に管理している証となり、新規取引の開拓や入札において、他社との明確な差別化要因となり、競争力を大きく向上させます。

サプライチェーンリスクへの体系的対応

★4は、サプライチェーン攻撃という現代の主要な脅威に対し、組織的に対応できる能力を求めています。

  • 取引先管理の高度化
    ★4では、自社だけでなく、取引先に対するセキュリティ要求事項を提示し、定期的な評価・監査を通じて是正措置を要求する仕組みの構築が必須となります。
    これは、サプライチェーンにおける脆弱性を組織的に管理する体制です。
  • 「検知」と「復旧」能力の確保
    ★3が「侵入を防ぐ」防御であるのに対し、★4は「侵入を前提とした早期検知迅速な対応・復旧に重点を置いています。
    多要素認証の導入、ログの集中監視、体系化されたインシデント対応チーム(CSIRT機能)の整備は、事業継続性を確保するために不可欠です。

組織的ガバナンスの成熟化

★4への取り組みは、組織のセキュリティ対策を「専門担当者任せ」から「経営課題としての継続的な管理」へと昇華させます。

経営層の関与、セキュリティリスクの定量評価と定期的なレビューが求められ、対策が事業戦略と連携した、体系的なマネジメントサイクルとして機能するようになります。

★4 Standard達成の鍵:「セキュリティ教育」の戦略的役割

★4 Standardの達成には、新しいシステムや厳格なルールだけでなく、組織を動かす「人」が不可欠です。

セキュリティ教育は、この人的側面を強化する中核的な要素となります。

インシデント対応能力を実効性のあるものに

★4が要求するCSIRT機能やインシデント対応手順は、策定するだけでは意味がありません。

  • 対応訓練の義務化
    ★4の要件として、策定した手順に基づき、机上訓練や模擬訓練を定期的に実施することが求められます。
    セキュリティ教育は、この訓練のシナリオを設計し、関係者全員が緊急時にマニュアルではなく訓練で身につけた手順で迅速に対応できるように訓練します。
  • 初動対応の迅速化
    不審な事象をすぐに報告し、被害拡大を防ぐための初動(例:ネットワークからの切り離し)を迷いなく実行できるかどうかが訓練の成果であり、★4のインシデント対応要件を直接的に満たします。

階層別教育によるガバナンスの浸透

★4のガバナンス強化を実現するためには、全従業員が一律の教育を受けるだけでは不十分です。

  • 経営層、管理者層への教育
    経営層には、技術的な防御策ではなく、セキュリティリスクが事業継続や財務に与える影響を理解させる教育が必要です。
    これにより、セキュリティ対策への適切な予算配分と意思決定が可能になります。
  • 専門担当者への継続教育
    常に進化する脅威に対応するため、最新の攻撃手法、脆弱性管理、セキュリティ監視技術に関する専門的な研修を継続的に提供し、担当者の技術レベルを維持・向上させます。

取引先管理と教育の連携

自社のセキュリティ教育に加え、★4ではサプライチェーンのリスクを減らすため、取引先への教育的支援も視野に入れるべきです。

取引先が★3基準を満たすためのガイドラインや教育資料を提供し、共通理解を深めることで要求事項の遵守を促します。

これは、サプライヤー側のセキュリティ水準をボトムアップで引き上げる効果があります。

セキュリティ教育は未来への戦略的投資

経産省の「サプライチェーン・セキュリティ対策評価制度」における★4 Standardは、組織に対し、受動的な防御から能動的なリスクマネジメントへの転換を迫っています。
この高水準の要求に応えるためには、強固な技術的な防御に加え、セキュリティ教育を「コスト」ではなく「未来の事業継続と信頼への戦略的投資」と位置づけることが不可欠です。
自社がサプライチェーンの中で最も信頼されるパートナーであり続けるために、今こそ★4 Standardを見据えた、体系的で実効性のあるセキュリティ教育の構築に着手しましょう。

それが、日本経済全体の安全を守る一歩となります。

セキュリティア推進部
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