
アドウェアの対策とは?考えられる感染経路・被害と企業が取り組むべき従業員教育
Webサイトを閲覧している際やソフトウェアを利用している際に、意図しない広告やポップアップが繰り返し表示されることがあります。その原因の一つが「アドウェア」です。
アドウェアには正規の広告表示を目的としたものもありますが、悪質なものでは偽警告や詐欺サイトへの誘導、情報収集などにつながる場合があります。業務用端末に侵入すると、業務効率の低下だけでなく、情報漏えいやマルウェア感染へ発展するおそれもあります。
そのため企業では、ソフトウェアの導入制限やWebフィルタリングなどの技術対策に加え、従業員が不審な広告や画面を適切に判断できるよう教育することが重要です。
本記事では、アドウェアの仕組みや感染経路、企業に及ぼすリスクと対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.アドウェアとは?広告を表示するソフトウェアの特徴
- 1.1.アドウェアの基本的な仕組み
- 1.2.悪質なアドウェアで見られる症状
- 2.アドウェアはどのように侵入するのか
- 2.1.無料ソフトやアプリへの同梱
- 2.2.不正広告や偽の更新通知
- 2.3.メールやSNSのリンク
- 2.4.従業員による未承認ソフトの導入
- 3.アドウェアによって企業に起こり得る被害
- 3.1.業務効率や端末の安定性が低下する
- 3.2.閲覧情報や端末情報が収集される
- 3.3.詐欺やマルウェア感染の入口になる
- 4.企業が行うべきアドウェア対策と教育
- 4.1.端末やブラウザのセキュリティ対策を強化する
- 4.2.ソフトウェアの導入ルールを整備する
- 4.3.アドウェアが疑われる場合の対応手順を決める
- 4.4.従業員が不審な操作を避けられるよう教育する
- 4.5.アドウェアを疑似体験できる教育を取り入れる
- 5.まとめ|アドウェア対策はソフト管理と従業員教育を組み合わせる
アドウェアとは?広告を表示するソフトウェアの特徴
アドウェアは、端末やブラウザ上に広告を表示するソフトウェアです。正規の広告表示を目的とするものがある一方で、利用者の意図しない広告表示や不審なサイトへの誘導を行うものもあります。
アドウェアの基本的な仕組み
アドウェアとは、パソコンやスマートフォン、ブラウザ上に広告を表示するソフトウェアの総称です。無料ソフトやアプリ、ブラウザ拡張機能などに組み込まれ、広告収入を得る目的で利用される場合があります。
利用規約やインストール画面に広告表示について明記され、利用者が同意したうえで動作するものもあります。そのため、アドウェアのすべてが悪意のあるソフトウェアというわけではありません。
一方で、広告表示について十分な説明がないまま導入されたり、別のソフトウェアに同梱されて利用者が気づかないうちにインストールされたりするケースもあります。
悪質なアドウェアで見られる症状
悪質なアドウェアが導入されると、Web閲覧中に広告やポップアップが繰り返し表示される、意図しないページへ転送されるといった症状が見られます。
また、ブラウザのホーム画面や検索エンジンが変更されたり、覚えのない拡張機能やソフトウェアが追加されたりする場合もあります。
さらに、不審な広告を表示して偽のウイルス警告画面へ誘導し、電話や遠隔操作ソフトの導入を促す「サポート詐欺」につながるケースもあります。
端末の動作が遅くなることもありますが、原因は複数考えられるため、従業員が自己判断で削除や設定変更を行わず、情報システム部門などで確認することが重要です。
アドウェアはどのように侵入するのか
アドウェアは、利用者が意図せず導入してしまうケースが少なくありません。無料ソフトへの同梱、不正広告、メールなど、日常的な業務のなかで接触する可能性があるため、主な侵入経路を把握しておくことが重要です。
無料ソフトやアプリへの同梱
アドウェアは、無料ソフトやフリーウェアのインストーラーに追加ソフトとして含まれている場合があります。目的のソフトウェアをインストールする際に、広告表示を行うソフトやブラウザ拡張機能が同時に導入される仕組みです。
インストール画面で「推奨設定」や「標準インストール」を選択すると、追加ソフトの導入が許可される場合があります。利用規約や設定項目を十分に確認せず進めることで、意図しないソフトウェアを導入するリスクがあります。
特に、非公式サイトや信頼性の低い配布元から取得したソフトウェアには注意が必要です。業務で利用するツールは、公式サイトや管理部門が指定した配布元から入手することが重要です。
不正広告や偽の更新通知
Webサイト上の広告や偽の更新通知をきっかけに、アドウェアが導入される場合があります。
「ブラウザの更新が必要」「動画を再生するには追加ソフトが必要」などと表示し、正規の更新ファイルに見せかけたソフトウェアをダウンロードさせる手口です。実際のダウンロードボタンに似せた広告を表示し、誤クリックを誘うケースもあります。
また、改ざんされたWebサイトや不正広告によって、意図せずダウンロードページへ誘導されることもあります。通常の情報検索やWeb閲覧中にも遭遇する可能性があるため、突然表示された通知や広告を安易に信用しないことが重要です。
メールやSNSのリンク
メールやSNSのリンクから、アドウェアを含むソフトウェアの導入へ誘導される場合があります。
取引先やサービス事業者を装い、「請求書の確認」「資料の閲覧」「アプリの更新」などを理由に、添付ファイルやリンクを開かせる手口です。
送信者名が実在する企業や取引先に見えても、正規の案内とは限りません。送信元アドレスやリンク先URL、ソフトウェアの配布元を確認し、不審な場合は社内担当部署へ確認することが重要です。
従業員による未承認ソフトの導入
従業員が業務効率化を目的に、管理部門の承認を得ずソフトウェアやブラウザ拡張機能を導入することも、アドウェア侵入の原因になります。
PDF変換ツールやファイル圧縮ソフトなど、日常業務で利用する無料ツールがきっかけになる場合もあります。
管理部門が把握していないソフトウェアは、安全性の確認やアップデート管理が難しくなります。企業では、利用可能なソフトウェアを明確にし、導入時の申請ルールを整備することが重要です。
アドウェアによって企業に起こり得る被害
アドウェアによる影響は、広告が表示されて端末が使いにくくなるだけではありません。業務効率の低下や情報収集、別のサイバー攻撃への発展など、企業の情報セキュリティにも関わる問題へつながります。
業務効率や端末の安定性が低下する
悪質なアドウェアが端末やブラウザに導入されると、広告やポップアップが繰り返し表示され、業務の中断を招きます。
広告を閉じても再表示されたり、画面の一部が隠れたりすると、従業員は本来の作業へ集中しにくくなります。また、広告表示や外部通信が頻繁に発生すれば、ブラウザや端末の動作低下につながることも少なくありません。
さらに、端末の調査や問い合わせ対応が増加すると、情報システム部門の負担も大きくなります。同じアドウェアが複数の端末へ入り込んだ場合、一時的な不具合では終わらず、組織全体の生産性へ影響を及ぼすおそれがあります。
閲覧情報や端末情報が収集される
一部のアドウェアは、広告表示や利用状況の分析を目的として、閲覧履歴や検索内容を収集します。IPアドレス、端末情報、OSやブラウザの種類なども取得対象となり、外部へ送信されるケースも存在します。
業務用端末では、検索内容やアクセス先に取引先情報、製品情報、社内プロジェクトに関する情報が含まれる場合があります。こうした情報を第三者に把握されると、企業の事業内容や関心領域を推測されるリスクにつながります。
また、収集された情報が広告配信だけでなく、フィッシングなど別の攻撃に利用される可能性も否定できません。提供元や利用目的が明確でないソフトウェアは、業務環境で利用しないことが大切です。
詐欺やマルウェア感染の入口になる
悪質なアドウェアは、表示した広告やポップアップを通じて、フィッシングサイトや不正なダウンロードページへ誘導します。
「ブラウザの更新が必要」「セキュリティソフトを導入してください」といった偽の通知を表示し、不正なソフトウェアのインストールを促す手口にも注意が必要です。
さらに、偽のログイン画面から認証情報を盗み取ったり、サポート詐欺のページへ誘導して電話や遠隔操作へつなげたりするケースもあります。アドウェアは単なる広告表示の問題ではなく、情報漏えいや不正アクセスを引き起こすきっかけになり得るため、企業では適切な管理が求められます。
企業が行うべきアドウェア対策と教育
アドウェアへの対策では、不審なソフトウェアが端末へ入り込む経路を減らす技術対策と、導入状況を適切に管理する運用体制の両方が求められます。加えて、従業員自身が不審な広告やインストール画面に気づき、操作を止めて報告できるよう教育することも欠かせません。
端末やブラウザのセキュリティ対策を強化する
まずは、OSやブラウザ、業務で利用するソフトウェアを常に最新の状態へ保ちます。古いバージョンを使い続けると、既知の脆弱性を悪用され、不審なサイトへの誘導や別のマルウェア感染につながる可能性があります。
ウイルス対策ソフトやEDR(※)を導入し、検知機能や定義ファイルを最新の状態で運用することも有効です。Webフィルタリングを活用すれば、信頼性の低いサイトや危険なダウンロードページへのアクセスを制限できます。
また、ブラウザのポップアップ表示やWebサイトからの通知は、業務上必要な範囲に限定します。ブラウザ拡張機能についても利用ルールを設け、未承認のものを自由に追加できない環境を整えることが大切です。
※EDR(Endpoint Detection and Response)とは、パソコンやサーバーなどの端末上で不審な挙動を検知し、原因調査や対応を支援するセキュリティ対策のこと。
ソフトウェアの導入ルールを整備する
業務で利用するソフトウェアは、開発元の公式サイトや正規のアプリストアから取得することを基本とします。検索結果に表示された広告や第三者の配布サイトからダウンロードすると、目的のソフトウェアに別のプログラムが含まれている場合があります。
また、従業員が自由にソフトウェアや拡張機能を追加できる環境では、管理部門が把握していないツールが増加しやすくなります。利用可能なソフトウェアを一覧化し、未承認のツールを使用する際の申請・確認フローを明確にしておくことが必要です。
不要になったソフトウェアや拡張機能は定期的に確認し、削除します。端末管理ツールなどを活用すれば、未承認ツールや古いバージョンが残っている端末も把握しやすくなります。
アドウェアが疑われる場合の対応手順を決める
不審な広告やポップアップが繰り返し表示された場合は、画面上のボタンやリンクを不用意にクリックしてはいけません。「ウイルスに感染した」と表示されても、記載された電話番号へ連絡したり、案内されたソフトウェアを導入したりしないことが基本です。
業務用端末では、従業員が自己判断でソフトウェアや拡張機能を削除すると、原因調査に必要な情報が失われる可能性があります。まずは情報システム部門などへ報告し、表示内容や直前の操作を共有します。
管理担当者は、不審なソフトウェアやブラウザ拡張機能の有無を確認し、必要に応じてセキュリティスキャンを実施します。あわせて、ホーム画面や検索エンジン、通知設定などが変更されていないかも確認します。
もし誘導先のサイトでID・パスワードなどを入力した場合は、別の安全な端末から認証情報を変更します。不審なログイン履歴がないかを確認し、影響範囲を調査することも重要です。
従業員が不審な操作を避けられるよう教育する
アドウェアは、従業員がインストール画面の内容を十分に確認せず操作を進めたことで導入されるケースがあります。そのため、ソフトウェア導入時に確認すべきポイントを具体的に周知することが必要です。
例えば、追加ソフトのチェック項目、広告表示への同意、ブラウザ設定の変更などを確認する習慣を身につけます。「推奨」「高速」「無料」といった表示だけで判断せず、導入内容を確認してから進めるよう教育します。
また、偽の更新通知や本物に似せたダウンロードボタンなど、典型的な誘導方法についても理解を深めます。あわせて、正規のソフトウェア配布元や社内で利用可能なツールを明確にしておくことで、従業員が安全に判断できる環境を整えられます。
不審な広告表示や端末の異常に気づいた際の報告先も事前に周知します。誤操作を責めるのではなく、早期報告につなげる仕組みを整えることで、被害拡大の防止につながります。
アドウェアを疑似体験できる教育を取り入れる
座学だけでは、不審な広告やインストール画面を前にした際、どの時点で操作を止めるべきか判断しにくい場合があります。そのため、実際の業務に近い状況を疑似体験し、適切な対応を練習することが有効です。
『セキュアプラクティス®』では、アドウェアを題材にした「アドウェア編」のシナリオを用意しています。疑似的なインシデントを通じて、不審な広告やソフトウェアが表示された際の判断や報告手順を具体的に学習できます。
さらに、サポート詐欺やフィッシング、スミッシングなど、アドウェアをきっかけに発生し得る関連攻撃についても横断的に学べます。広告表示から偽サイトへの誘導、情報入力や遠隔操作による被害まで、一連の流れを理解できる点が特徴です。
管理者側では履修状況を確認できるため、対象者への受講案内や未受講者の把握など、組織的なセキュリティ教育にも活用できます。
まとめ|アドウェア対策はソフト管理と従業員教育を組み合わせる
アドウェアは、端末やブラウザ上に広告を表示するソフトウェアの総称です。すべてが悪意のあるものではありませんが、利用者が意図しない広告や偽警告を繰り返し表示し、詐欺サイトや不審なソフトウェアへ誘導するものもあります。
主な導入経路には、無料ソフトへの同梱、不正広告、偽の更新通知、メールやSNSのリンクなどがあります。業務端末に入り込むと、広告表示による作業効率の低下だけでなく、閲覧履歴や端末情報の収集、フィッシングサイトへの誘導、別のマルウェアへの感染につながる可能性があります。
企業には、OSやブラウザの更新、Webフィルタリング、ブラウザ拡張機能の管理、ソフトウェアの導入権限の制御といった技術対策が必要です。利用できるソフトや取得先を明確にし、未承認ツールを導入する際の申請手順を整えることも欠かせません。
ただし、ソフトウェアをインストールするか、不審な広告をクリックするか、端末の異常を社内へ報告するかには、従業員一人ひとりの判断が関わります。
『セキュアプラクティス®』では、アドウェアによるリスクを疑似体験できる「アドウェア編」を用意しています。実際に近い状況で判断と報告を練習することで、「内容を確認する・操作を止める・速やかに報告する」という行動を組織内に定着させやすくなります。



