
セキュリティ教育テストの限界と改善策|クイズから一歩進んだ教育とは
セキュリティ教育を継続的に実施している企業は増えている一方で、「教育の効果を実感できているか」と問われると、明確に答えられない担当者も多いものです。
受講した社員にテストを行っていても、実務にどこまで生かされているのか判断しづらいケースはよく見られます。
本記事では、セキュリティ教育の定着率を高めるために、どのようなテストを用意するのがいいのかという視点から整理します。クイズ形式にした際の役割や限界に関する情報もまとめているため、マンネリを感じている担当者は参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.セキュリティ教育を実施しても「本当に身についているか分からない」
- 2.なぜセキュリティ教育にテストが必要なのか
- 3.セキュリティ教育テストの代表的な形式
- 3.1.選択式テスト・確認テスト
- 3.2.クイズ形式
- 4.定着率を高めるために必要な「テスト設計」の視点
- 5.セキュリティ教育はテストだけだと不十分な理由
- 5.1.正解を覚えるだけになりやすい
- 5.2.実際の業務では状況判断が求められる
- 6.クイズから一歩進んだ「体験型セキュリティ教育」という選択肢
- 7.セキュリティ教育テストと体験型教育をどう使い分けるか
- 7.1.テストが向いているケース
- 7.2.体験型教育が効果を発揮するケース
- 8.まとめ|セキュリティ教育テストは「知識確認」から「行動確認」へ
セキュリティ教育を実施しても「本当に身についているか分からない」
セキュリティ教育を続けているにもかかわらず、効果が見えにくいと感じる原因を整理します。
テストは実施しているが、効果を実感できない
多くの企業では、セキュリティ教育の受講後に確認テストを実施しています。選択式の問題や簡単な理解度チェックを行い、一定の正答率をもって教育完了とするケースが一般的です。
しかし、テストの結果を見ても「本当に理解しているのか」「実際の業務で正しい判断ができるのか」まで把握できているかというと疑問が残ります。正解していても、実務では迷ってしまう可能性があります。
テスト結果と実務での行動が結びついていない場合、教育の定着率を正しく測れているとは言い切れません。
教育内容がマンネリ化し、形骸化している不安
長年セキュリティ教育を続けていると、教育内容やテスト形式が固定化しやすくなります。毎年同じような問題を出題していると、受講者は「答えを覚える」ことに意識が向き、真剣に考えなくなるのが難点です。
結果として、テストの点数は問題なくても、実際の判断力が身についていない状態が生まれがちです。担当者としても、教育を実施しているものの、形骸化しているのではないかという不安を抱きやすくなります。
セキュリティ教育の形骸化を改善するためには、セキュリティ教育テストの役割を改めて見直す必要があります。
なぜセキュリティ教育にテストが必要なのか
テストはマンネリ化すると言いつつも、教育だけでは本当に習得できているのかが不透明なまま終わってしまいます。マンネリ化しやすい状況下でも、セキュリティ教育にテストが必要な理由も再確認します。
受講しただけでは定着したとは言えない
セキュリティ教育では、動画視聴や資料確認など、受講をもって完了とするケースがあります。しかし、受講した事実だけでは、内容がどこまで理解されているか判断できません。
人は、説明を聞いた直後は理解したと感じやすいものです。ただし、実際に判断を求められるシーンでは、内容を思い出せなかったり、誤った行動を取ったりすることがあります。受講と定着の間には差があるため、教育効果を正しく把握するには数字で判断できる確認が必要です。
セキュリティ教育では、受講後にテストを行い、理解度の確認が重要になります。
理解度の可視化が教育改善につながる
テストの実施で、社員ごとの理解度を把握しやすくなります。例えば社員によって異なる学習定着度や誤認しやすいポイントが見えるため、教育の改善点も明確になるのが利点です。
また、特定の設問で誤答が多い場合、誤答したテーマに特化させた説明が不足している可能性を洗い出せます。
理解度を可視化することは、単に点数をつけるためではありません。セキュリティ教育をより効果的に改善していくための重要な手段です。
セキュリティ教育テストの代表的な形式
セキュリティ教育で用いられるテストには、いくつかの代表的な形式があります。
選択式テスト・確認テスト
選択式テストや確認テストは、セキュリティ教育でよくある一般的な形式です。複数の選択肢から正解を選ぶ方式のため、短時間で実施しやすく、採点や集計も容易です。
教育内容をどの程度理解しているかを把握しやすく、全体的な傾向を確認する目的には適しています。また、一定の正答率を基準にすることで、受講した証跡としても活用できます。
一方で、選択肢から答えを選ぶ形式では、深く考えなくても正解できてしまう場合があります。知識の有無は確認できますが、実際の判断力まで測るには限界があるのが選択式テストの特徴です。
クイズ形式
クイズ形式のテストは、設問に工夫を加えることで、受講者の関心を引きやすい点が特徴です。セキュリティ教育においても、ゲーム感覚で参加できるため、抵抗感を減らしやすくなります。
特に、社内向けのセキュリティ教育では、クイズ形式を取り入れることで、教育への参加意欲を高める効果が期待できます。また、選択式テストよりも記憶に残りやすい点もメリットです。
ただし、クイズ形式であっても、基本は知識確認にとどまります。正解を覚えることが目的になりやすく、実務での行動につながっているかを判断しにくい点には注意が必要です。
定着率を高めるために必要な「テスト設計」の視点
セキュリティ教育の定着率を高めるには、テストを形式的に行うだけでは足りません。テストの実施が目的化していると感じる場合、下記を見直してみましょう。
知識ではなく「判断」を確認できているか
セキュリティ教育テストでは、「正しく知識が身についているか」を問う設問が中心になりがちです。しかし、実際の業務で求められるのは、知識そのものではなく、状況に応じた判断能力です。
例えば、「このメールは危険か」と問われたときに、用語を覚えているだけでは十分に対処できません。差出人や文面、添付ファイルの有無などを総合的に見て判断できるかどうかが重要です。
定着率を高めるためには、知識を思い出せるかではなく、適切な行動を選べるかを確認する視点が必要です。テスト設計の段階で、実務レベルで行動につなげられるかを意識することが求められます。
実務に近い状況を想定できているか
テストが抽象的な内容にとどまっている場合、実務での行動につながりにくくなります。現場で直面する状況を想定した設問でなければ、判断力を正しく把握することはできません。
実際の業務で使われているメールや業務フローを意識した設問にすることで、受講者は自分の仕事と結びつけて考えやすくなります。結果として、テスト自体が学習の機会としても機能します。
実務に近い状況を想定したテストは、定着率を高めるだけでなく、教育内容を現場に根づかせるための重要な業務の1つです。
セキュリティ教育はテストだけだと不十分な理由
セキュリティ教育の定着率を高めるには、テストだけに頼らない視点も必要です。
正解を覚えるだけになりやすい
テストを中心にしたセキュリティ教育では、受講者が「正解」を覚えることに意識を向けやすくなります。設問の内容を繰り返し見ているうちに、理由を理解しなくても答えを選べてしまう状態が生まれます。
受講者は、テストの点数が高くても、実際の業務で正しい判断ができるとは限りません。知識が行動に結びついていないため、教育の定着率も高まりにくくなります。
実際の業務では状況判断が求められる
実務の現場では、単純な正誤問題のように状況が整理されていることはほとんどありません。限られた情報から、複数の要素を考慮しながら判断しなければいけません。
例えば、不審な点があるメールであっても、業務上の連絡に見える場合があるため、知識を思い出すだけでなく、状況全体を見て判断する力が必要です。
テストだけでは、実務レベルの判断力を十分に把握することは難しいため、別の学習方法との組み合わせが重要になります。
クイズから一歩進んだ「体験型セキュリティ教育」という選択肢
テストやクイズの限界を補う方法として、近年注目されているのが体験型セキュリティ教育です。
誤操作を含めて判断プロセスを体験できる
体験型セキュリティ教育は、正解を選ぶことではなく、判断の過程そのものを体験できるのが特徴です。受講者は、実際の業務を想定したシーンで操作や選択を行い、結果を確認します。
体験型セキュリティ教育では、誤った判断をすることも前提に設計されています。誤操作によってどのようなリスクが生じるのかを体験することで、知識として理解するだけでは得られない気づきを体験できます。
一方でクイズ形式では、結果しか表示されません。このデメリットに対して体験型では「なぜその判断が危険だったのか」というプロセスを振り返れるのが魅力で、受講者にとって理解の深さに影響します。
テストでは測れない行動レベルの理解を確認できる
体験型セキュリティ教育は、行動レベルの理解を確認できる点でも有効です。受講者がどのシーンで迷い、どのような判断をしたのかを見ることで、実務に近い状態での理解度を把握できます。
例えば、セキュアプラクティスでは、Webブラウザ上で標的型攻撃メールやフィッシング詐欺などのシナリオを体験できるのが特徴です。操作後には解説が表示されるため、自身の判断を振り返ることが可能です。
管理者側は、履修状況や結果を確認でき、テストの点数だけでは見えない理解の傾向を把握しやすくなります。教育のマンネリを感じている担当者にとって、従来のテストを補完する手段として検討しやすい選択肢です。
セキュリティ教育テストと体験型教育をどう使い分けるか
セキュリティ教育の効果を高めるためには、テストと体験型教育の特性を理解し、目的に応じた使い分けが重要です。
テストが向いているケース | 体験型教育が効果を発揮するケース |
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テストが向いているケース
セキュリティ教育のテストは、知識の定着状況を幅広く確認したい場合に適しています。短時間で実施でき、結果を数値で把握しやすいため、全社的な教育や定期的な確認には有効です。
また、ガイドライン対応や社内ルールの周知など、「理解しているかどうか」を確認する目的にも向いています。ただし、判断力まで把握することは難しいため、目的を限定した活用が重要です。
体験型教育が効果を発揮するケース
体験型セキュリティ教育は、実際の業務における判断力を高めたい場合に向いています。誤操作を含めた体験を通じて、自身の判断の癖や弱点に気づける点が特徴です。
テストでは問題なく正解できているにもかかわらず、現場での不安が残ったり教育のマンネリを感じたりする場合、体験型教育を組み合わせることで学習効果を高めやすくなります。
まとめ|セキュリティ教育テストは「知識確認」から「行動確認」へ
セキュリティ教育テストは、教育内容の理解度を把握するうえで重要な役割を果たします。例えば、選択式テストやクイズ形式は、基本的な知識を確認する手段として有効です。一方で、テストだけでは実務での判断力や行動まで十分に把握できない場合があります。
教育の定着率を高めるためには、「知識を知っているか」だけでなく、「実際にどう判断し、どう行動できるか」という視点が欠かせません。目的に応じて、テストと体験型教育を組み合わせて活用することで、教育効果を高めやすくなります。
近年では、クイズから一歩進んだ体験型セキュリティ教育も選択肢として注目されています。セキュアプラクティスのように、実務に近い場面を体験しながら学べるサービスは、教育のマンネリを感じている担当者にとって検討しやすい手段の1つです。
まずは自社のセキュリティ教育の目的を整理し、達成に適したテストや教育手法の見直しが、定着率向上への第一歩となります。


